一部機種が高騰している高級コンパクトカメラの草分け的存在『CONTAX Tシリーズ』とは

カメラ製品の種類の中でも、携帯性に優れ、比較的シンプルな操作性から今も幅広い世代のユーザーに親しまれている「コンパクトデジタルカメラ」。手に取りやすい安価な物から、際立った性能を持つ高級路線のいわゆる「高級コンデジ」も、現在はメーカー各社から登場していますが、かつてフィルムカメラが主流の時代において、高級路線の「高級コンパクトカメラ」が発売されていた事をご存じでしょうか。今回の記事では、その高級コンパクトカメラの草分け的存在となる京セラの『CONTAX Tシリーズ』の魅力に迫ります。

京セラがかつて展開していたカメラブランド「コンタックス(CONTAX)」

京セラがかつて展開していたカメラブランドの『コンタックス(CONTAX)』は、元々はドイツのカメラメーカーツァイス・イコン(Zeiss Ikon)で生まれたカメラブランドとしてのルーツを持ちます。1971年にツァイス・イコンがカメラ事業から撤退した後、「カール・ツァイス(Carl Zeiss)」と日本のカメラメーカー「ヤシカ(YASHICA)」が共同事業として1975年にブランドを再始動。後の1983年にヤシカが京セラに吸収合併されたと同時に同ブランドが引き継がれる形となり、様々な主力製品が投入されました。しかしながらカメラ市場の低価格化が進み採算悪化の一途を辿る状況となった2000年代初頭、京セラはデジタルカメラ事業やコンタックスブランドの撤退を2005年に発表し、現在までそのブランドは休眠状態にあります。

京セラ時代に生み出された高級路線『T』シリーズ

京セラがコンタックスブランドとして1984年に初代モデルを展開した単焦点レンズ搭載の『T』シリーズは、カール・ツァイスとポルシェデザイン・スタジオとの共同開発によって生み出された高級コンパクトカメラシリーズ。デザイン設計を担当したポルシェデザイン・スタジオは、自動車工学者フェルディナント・ポルシェの孫であり、高級自動車メーカー「ポルシェ」を代表とする伝説的スポーツカー「911」のデザインにも携わったフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェによって創設されたデザイン事務所(現在は各部門を統合しポルシェ・ライフスタイル・グループとなる)の事で、現在までに高級腕時計やアクセサリー、衣服やバッグなど様々なブランド製品を展開しています。『T』シリーズでは多結晶サファイアのロマンドを採用した撮影ボタンや、トップカバー上部の装飾「Tカット」など、スタイリッシュな外観をシリーズを通して実現しており、普遍的とも言える無駄のないシンプルなデザインは、時代を超えて高い人気を獲得している理由の一つと言えます。またTシリーズは高品質なレンズを搭載している事も大きな特徴の一つであり、広角レンズビオゴン(Biogon)などを発明したレンズ設計者ルートヴィッヒ・ベルテレが1929年に完成させた単焦点レンズ「ゾナー(Sonnar)」の技術を採用しており、誰でも簡単に一眼レフに匹敵する写真を撮れることが『T』シリーズの大きな魅力となっています。

CONTAX Tシリーズ(単焦点レンズモデル)の製品ラインナップ
画像:(Wikipedia)
CONTAX T

発売時期:1984-1988年 発売時本体価格:87,000円
製品の特徴:38mmF2.8レンズ搭載、最短撮影距離100cm。絞り優先AEとマニュアルフォーカス機能を搭載し、公称87%という高いファインダー視野率を実現。発売当時はフロントカバー式でレンジファインダーを搭載した唯一のコンパクトカメラ。フロントカバーを開けると沈胴式のレンズがせり出してくる仕組み。着脱式ボディカバーでフィルム装填や巻き上げは手動。


画像:(Wikipedia)
CONTAX T2

発売時期:1990-1997年 発売時本体価格:120,000 
製品の特長:38mmF2.8レンズ搭載、最短撮影距離70cm。レンズをオートフォーカス化し、露出補正ダイヤルを搭載、コンパクトボディにストロボを新たに内蔵。ボディには高級素材のチタンを採用。開閉式裏蓋を搭載し、オートローディングによるフィルム供給や巻き上げが自動化。ロングセラーとなりカラーバリエーションも多数登場。


CONTAX T3

発売時期:2001-2005年 発売時本体価格:98,000
製品の特長:設計を刷新した35mmF2.8レンズを搭載し描写力が向上、最短撮影距離35cm。マルチAFによりピントの精度が向上、前面に高級素材のチタンカバーを採用。開閉式裏蓋を搭載し、オートローディングによるフィルム供給や巻き上げが自動化。

CONTAX T3が高額な理由

発売当時も高級コンパクトカメラとして世に送り出されたTシリーズですが、現在も市場価格は高値で安定しており、とりわけTシリーズの最終形とも言える『T3』は、状態の良い個体であれば30万円以上の価格で取引されることも少なくありません。初代『T』は中古市場では1万円台から、状態の良いモデルは5万円台の市場価格で推移しており、『T2』に関しては中古市場の価格帯は10万前後と、後継機種に進むにつれて右肩上がりの市場価格帯となっています。『T2』も『T3』と同列に語られるほど完成度の高い製品として定評のあるモデルですが、大きな価格差が開いている理由の一つとしてその生産台数が挙げられます。7年間にわたるロングセラーモデルとなったT2は26万台もの販売台数を記録しており、対して『T3』が発売された時期は、2000年代初頭のコンパクトデジタルカメラの大ヒットと、キヤノン『EOS D30』を筆頭とする低価格デジタル一眼レフカメラの台頭により、高級コンパクトカメラの人気に陰りが出た過渡期でもあり、結果的に市場に出回る数が『T2』よりも少なく、現在の希少価値を生み出している理由の一つと言えます。

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参考URL(京セラ、デジカメ事業から撤退 , 京セラ、CONTAX事業を2005年中に終了Contax (Yashica/Kyocera)wiki) 参考文献(魅惑のコンタックスTシリーズ,マニュアルカメラ編集部 編,エイ文庫,2003)

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