ライカ(Leica)製品はなぜ高い?その理由と歴史を辿る

高性能化を果たしたスマートフォンの普及により、今や被写体を撮影するという体験は現代人の日常にも深く入り込んでいるカメラ。スマートフォンでは各種アプリを通して様々なエンターテイメント色の強いカメラ撮影や、プロ顔負けな”映え”写真が手軽に撮影できるものの、一眼レフやデジカメなどのカメラ機能を主とする従来のカメラ機器は現在も根強い人気があります。

そんなカメラ機器の中で、Hasselblad(ハッセルブラッド)と共に、高額カメラの代名詞として挙げられるLeica(ライカ)という名前を耳にした事がある方も多いのではないでしょうか。主要カメラメーカーの現行デジタルカメラ製品でその価格帯を比較してみると、CANONやRICOH、SONY等が販売しているハイエンドモデルは10~20万円がおおよその価格帯なのに対し、ライカの現行モデルは50万~90万円と驚くほどに高額なモデルがラインナップされています。本稿ではその様なライカ製品が高額で販売されている理由と、魅力についてお届けします。


ライカカメラはドイツ生まれ、第一次大戦前から存在する歴史あるメーカー

オスカー・バルナック氏が「ウルライカ」を使用して撮影したヴェッツラーの洪水(1920年) (画像出典:Leica Academy Creative Photography)

まずはライカカメラが生み出された歴史の一端を辿り、その理由に迫ります。中半カメラが主流だった時代に小型化を実現し、カメラ史にその名を刻んだライカカメラは、設計技師オスカー・バルナック氏の発明がそのルーツとなります。1879年11月1日にドイツで生誕したバルナック氏は、得意の機械系の技術を延ばすため、様々な工場で働きキャリアを重ねた過去があります。ドイツの光学機器/光電子工学メーカーのカール・ツァイス財団への就職から、後に有力カメラメーカーなどの工場を合併して誕生したイカ社(ICA AG)を経て、ツァイス時代の友人の推薦で顕微鏡を主力商品にシネカメラなどに手を広げていたエルンスト・ライツ社へ1911年に入社します。

同氏はライツ社で1913~14年頃、35mm映画用フィルム2コマ分を一コマに流用する35mmカメラの原点となる「ウルライカ」と呼ばれる試作機を2台試作。写真撮影を趣味としていたバルナック氏が生前に残した当時の35mm撮影ネガは、約170枚がライカカメラ社のアーカイブに保管されており、その一つとして有名なのが、1920年にヴェッツラーの街が洪水の被害に見舞われた際の上記の写真。写真の撮影に三脚を要する大型のカメラが一般的だった当時において、撮影が困難な状況下で撮られたこの写真は、試作機ながらもウルライカの描写性能と機動力の高さを立証する形となりました。その後、複数の試作機の開発を経て、1925年に初の大量生産品となる35mmカメラ「ライカA型(I)」が発売。第一次大戦後にドイツを襲ったハイパーインフレからライツ社を救う製品となりました。

ライカの名称の成り立ち

Ernst Leitz(エルンスト・ライツ社)Camera」から名付けられたLeica

ライカのブランド名の由来となったエルンスト・ライツ社は、エルンスト・ライツ(I世)が1869年に前身となる顕微鏡メーカー「Optisches Institut」の事業を引き継いだタイミングで社名を変更し誕生。経営難など苦境の時代を乗り越え、一つのブランド名であったライカは、その後ライカカメラLeica Camera AG)社となり現在に至ります。


ライカは様々なカメラを展開、近年ではインスタントカメラも

主にレンジファインダーを主力製品としていたライカですが、日本の各種カメラメーカーから「低価格」かつ「高品質」な一眼レフ製品が登場した1960年代から70年代の時代には、ライカは1964年発売の「ライカフレックス」を皮切りに一眼レフシリーズを展開。カメラ機器を主力とする日本のミノルタ株式会社と技術提携し、レンジファインダーカメラよりも低い価格帯での商品化が実現しました。ライカのラインナップは現在までにフルサイズのミラーレスカメラやデジタル一眼、コンパクトデジタルカメラ等の機種を展開しており、2017年には同社初のインスタントカメラ「Leica SOFORT(ライカ ゾフォート)」を発売し、旧来のファンに大きな驚きを与えた事も記憶に新しいところです。2023年11月には液晶画面を導入したその後継機「Leica SOFORT 2(ライカ ゾフォート2)」も登場するなど、プロ仕様からライト層に向けた幅広いレンジで近年では製品を送り出しています。

以上のように戦前の時代から続くライカの命脈ですが、必ずしも巡分満帆という訳ではなく、製品競争に乗り遅れた一眼レフモデルの伸び悩みや、経営難による持ち株の売却など、様々な苦境を乗り越えてきました。現在もそのブランドが存続し、世界で愛され続けている同社の製品が高額となる根拠は果たしてどのようなものなのでしょうか。


ライカカメラが高額な理由とは

手作業の製造工程が多く、生産数が限られる為

同社のカメラ製品は機械による大量生産品とは異なり、熟練の職人による手作業の工程が多く、その生産数は非常に限られたものとなっています。精工な技術によって生み出される満足度の高い製品の提供には厳しい品質管理基準が設けられており、それも生産数が限られる要因の一つと言えます。結果的に世に出回るモデル数は少なくなり、在庫の飽和による価格破壊も起こりづらく、中古市場も安定しているというのが一つの理由となります。

製品は先進国のドイツ国内で全て生産されている為

全てのライカカメラのボディとレンズは、現在は同社の本拠地となるドイツのヴェッツラーにある生産拠点で製造されています。生産拠点を海外に置かず、先進国であるドイツ国内での人件費に係る生産コストから、製品の価格へ反映されているという側面もあります。

高品質な素材が使用されている為

その技術力や、長い歴史で培われたブランドイメージだけが価格に反映されているという訳ではなく、単にアルミニウムや真鍮、皮のような高級素材が製品に使用されている事もその理由の一つとなります。高品質な素材を使用することで耐久性やカメラ機能の信頼性において定評があり、著名人やプロカメラマン、ジャーナリストが愛用していることで、高いブランドイメージも獲得しています。


以上、ライカ製品が高額な理由についてお届けしました。戦前の時代に謳われた「ライカ1台、家一軒」といった神話や、世代を超えて受け継がれる「耐久消費財」としての価値観も少なからず存在するライカカメラ。リユースショップで見掛けることは珍しいブランドの一つと言えるかもしれませんが、店頭で見つけた際には是非チェックしてみてはいかがでしょうか。ハードオフグループ札幌出張買取センターでは、今回お届けしたライカカメラ等、お品物のお見積もりから承っております!大切なお品物の売却を考えられておりましたら、是非、ご検討いただければ幸いです。

(参考:Oscar Barnack – Flood in Wetzlar, 1920 | Leica Academy Creative Photography , Oskar Barnack | International Photography Hall of Fame ,
Are Leicas worth it? – Amateur Photographer , 技術の系統化調査報告「35㎜小型精密カメラの系統化調査」(PDF) ,田中 長徳『ライカワークショップ』(発行:株式会社枻出版社 2020年) )

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