旭川市で生まれた伝説の”鋳鉄”スピーカー「CASTRON」を発見

買取品の出庫で日々札幌の各店へ訪れる機会がある当出張買取センターですが、先日に札幌市北区にある「ハードオフ札幌あいの里店」に訪れた際に、北海道旭川市永山に事務所を構えていた鋳物製造業者「臼井鋳鉄工業」が制作したダクタイル鋳鉄製スピーカーを発見しました。

ダクタイル鋳鉄を素材とする継ぎ目のない箱

「CASTRON」ブランドで展開された同スピーカーは、ダクタイル鋳鉄を素材とする継ぎ目のない構造のエンクロージャー (箱) を採用しており、現在は海外ではデンマークのJERN(ヤーン）が鋳鉄製のスピーカーを展開しているものの、その技術を用いたスピーカーを製造するオーディオメーカーは今も多くはありません。とりわけ当時としては他に類を見ない構造のスピーカーとして、2001年度北海道新技術・新製品開発賞 「大賞」を受賞、2007年度の北海道 「オンリーワン事業」としても紹介されるなど、各方面で話題を呼んでいたスピーカーでもあったようです。ここで使用されているダクタイル鋳鉄とは、鉄を主成分に炭素などを含んだ鋳物に、組織内の構造を改良し延性（Ductile）を強化した鋳鉄のことで、耐久性、強靭性に優れた素材であり、誰しも一度は目にしたことがある”マンホールの蓋”に使用されている馴染み深い素材でもあります。

戦前から存在する老舗鋳物製造業者の臼井鋳鉄工業

1925年に創業した老舗の鋳物製造業者であった臼井鋳鉄工業は、戦前の時代には日本海軍の指定工 場として船舶用鋳造部品を製造、戦後は炭鉱機械部品や、ダクタイル鋳鉄によるマンホール蓋の専業メーカーとして事業展開するなど、一貫して鋳物製品の製造を行っていたものの、経営難に伴い2016年1月に廃業しています。その後2017年には、臼井鋳鉄の志を受け継ぐ会社としてウスイクリエイト合同会社が旭川市に設立されており、同社公式サイト上ではCASTRONスピーカーの『MP-01a』（現在はSOLD OUT）が販売。また記事執筆時点で旭川市のふるさと納税の返礼品として、同社が製造する『鋳鉄製ジンギスカン鍋「蒼き狼」（煙突付深型）煙突プラグセット』も選択することが出来るようです。

ダクタイル鋳鉄スピーカーブランド「CASTRON」誕生秘話とは

それでは老舗の鋳物製造業者が、前例のないエポックメーキングなスピーカーを生み出した背景にはどのような理由があったのでしょうか。それは同社の臼井社長が少年時代に記憶していたアイデアがルーツとなっているようです。

臼井社長は、 何か鋳鉄製造技術を活かした別の事業がないかと、新たな商品のアイディアを検討していましたが、すぐにいい案が出るものではありませんでした。そんなとき、臼井社長は中学生時代に会社へ来たあるお客さんのことを思い出しました。 それは、スピーカーのフロントバッフル (前面) を鋳物の板で造ってもらえないかという注文でした。 自宅と工場が隣接していた関係で子供だった臼井氏の耳にも入ってきました。その時は、木型から新しく作ることになり、費用もかさむので製作には至らなかったようです。

オーディオスピーカーは、 重い方が価値があるといわれています。 世界有数のスピーカーブランドであるアメリカのJBLには、 大理石を乗せているスピーカーもあるという。 また、音の振動を受け止めないと箱鳴りが起こるので、箱は頑丈でなければならないのです。それらが思い出され、それならばスピーカーボックス全体を鋳物で作ればいいのではないかとの発想につながったのです。

（引用：開発こうほう6月号 12ページ）

ハードオフグループ札幌出張買取センターではオーディオ買取強化中です！

振動を減衰する性能を持つ鋳鉄は、ノイズの原因となる振動や共鳴などを防ぐ用途として、オーディオ分野ではスピーカースタンドや、インシュレーターなどのアクセサリー製品として各社から発売されているものの、技術的にも高度な継ぎ目のない6面一体型のキャビネットは、老舗鋳物製造業者の臼井鋳鉄工業であったからこそ生み出す事が出来た製品と言えるのではないでしょうか。

記事執筆時点でオフモールでは、北海道の店舗を中心に「CASTRON」ブランドのスピーカーが出品されています。もしも店頭で見つけた際には、マンホールと同様の質量を誇るダクタイル鋳鉄の重みを確認してみてはいかがでしょうか！ハードオフ札幌出張買取センターではオーディオの買取を強化中しております。ご不要なものが御座いましたらお気軽に当センターまでお問い合わせください。

(参考URL: 月刊北海道経済 , ウスイクリエイト合同会社(facebook) , 北海道開発協会(PDF) , ふるさとチョイス – ふるさと納税サイト )