SHURE人気マイク『SM58』の「米国版」は付加価値有？

2024年2月2日 2024年2月2日

ハードオフグループ札幌出張買取センター

1 業界のスタンダードマイクSHURE『SM58』
2 SHUREは1925年設立、当初はラジオキットの販売屋だった
3 『SM58』が初登場となったのは1966年
4 製造中止も検討された『SM58』
5 これまでに米国、メキシコ、中国で製造
6 ビンテージ品買取中、動作不良の場合でもご相談ください！

業界のスタンダードマイクSHURE『SM58』

1966年の発売以降、国内外の様々なアーティストやライブパフォーマンスの場で採用され、業界のスタンダードとも言えるロングセラーのダイナミックマイク『SM58』。発売50周年を迎えた2016年には50周年を記念する限定版が登場、その後も米国のファッションブランドSupremeや、伝説的なアーティストのポール・マッカートニーやThe Whoとの限定版なども発売され希少価値を生み出していますが、これらの限定版だけではなく、通常モデルに関しても製造国の違いによって市場価格が変動するのをご存じでしょうか。本稿ではSHUREや『SM58』の歴史と共に、付加価値が付いているモデル情報をお届けします。

SHUREは1925年設立、当初はラジオキットの販売屋だった

今や確固たる地位を確立したSHUREの幕開けとなるのは1925年。組み立て式のAMラジオキットや、ラジオパーツの販売を専門とする個人経営会社として、幼少期よりアマチュア無線や機械工作に傾倒したSidney N. Shure氏が「Shure Radio Company」と呼ばれる会社をシカゴに設立し、ビジネスがスタートしました。しかしながら1929年に大恐慌がアメリカを襲った際にこれらのラジオキットの需要が低下、これをきっかけに再考したビジネスモデルが同社にとって大きな転機となります。同社は当時カーボンマイク等を手掛けていたEllis Electrical Laboratoriesが製造するマイクの販売事業を米国でスタートすると、そこから数年後に自社のマイクの開発に着手し、1932年に初の自社製マイク『Model 33N』を発売。重くて高額なマイクが一般的だった当時において、軽量で安価なこのマイクは話題を呼び、マイク製造業者が少ないアメリカにおいて業界をリードする出来事となりました。

『SM58』が初登場となったのは1966年

『SM58』のルーツは、そのアイコニックな見た目からマイクの代名詞とも称される1939年発売の単一指向性ダイナミックマイク『Unidyne Model 55』まで遡ります。電気・情報工学分野の学術研究団体IEEEが1983年に制定したIEEEマイルストーン賞（25年以上に渡り世の中で高く評価を受けた実績があり、電気・電子・情報技術やその関連分野の歴史的偉業に対して贈られる）を、2014年に受賞するなど、名実ともに偉業を成し遂げた『Unidyne Model 55』ですが、SM58の内部音響設計は『Unidyne Model 55』に採用された画期的なユニフェーズ音響ネットワークを搭載するなど、既存の人気モデルのエッセンスを取り入れた『SM58』の成功は必然とも思われました。

画像出典：SHURE日本公式

製造中止も検討された『SM58』

今や業界のスタンダードとも言える『SM58』ですが、発売当時は苦戦を強いられていたと言います。レコーディングスタジオを主なターゲットとして売り込みを行っていたものの、ラジオ/テレビ放送局は新たなSMマイクに興味を示さず、低水準な売り上げは1970年頃まで続く形となり、製造中止が検討される段階に来ていたそうです。しかしながら当時のセールスマネージャーは、これまでの顧客とは異なるラスベガス周辺のライブハウスへの売り込みを提案、ライブパフォーマンスの場で定評を獲得し、現在までの人気に繋がる形となりました。

これまでに米国、メキシコ、中国で製造

その様な背景を持つ『SM58』ですが、これまでにその製造国は米国、メキシコ、中国と時代に応じて製造国が異なります。その中でも初期に該当する米国製はとりわけ人気が高く、中古の市場価格においても他国版と比較して2倍近い価格差が開くことも少なくありません。米国製時代のSHUREのロゴは「ポルシェロゴ」と呼ばれる現行とは異なるデザインが採用されており、こちらも希少性を高めている理由の一つと言えるかもしれません。